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HOME   »   チリ (Chile)  »  アタカマ砂漠のソロ探し /en busca de zorros del desierto
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2019年12月12日~2020年1月7日

ruta del desiero




世界でもっとも乾燥している土地だといわれるペルー南部からチリ北部に渡って広がるアタカマ砂漠の土砂の海を、太平洋から吹き付ける向かい風に吹かれながらなんとか泳ぎ切りまして、年越しはチリ北部のサンペドロ・デ・アタカマというところで迎えました。

san pedro de atacama

Volcán Licancabur

ちょうどほぼ10年前に縦断したサハラ砂漠(大西洋沿岸ルート) と景観やら補給ポイント間の距離やら似ているところがあり、走行中、当時のことがしばしば思い出されました。

en la costa del sur Peru

ふいに砂漠の中に、町から運んできた水を用いて裏の畑でとれたメロンやスイカの直売所が現れたり、空中に網を張ってつかんだ朝霧を水滴に変え、その水で不毛の大地にオリーブ畑を創り出している過程が見られたりと、水さえ確保できれば本当に砂漠は緑化されるのだと、魔法のような水の力を改めて認識しました。

melon crece en el desierto

しかし、やはり風景の変化には極めて乏しく、アンデスの山々からの水の恵みを受け、川沿いに発達したオアシスの町がたまに現れますが、サハラや鳥取砂丘のようにラクダたちが現れて遊んでくれるわけでもなければ、ペルーアンデスのように敵意むき出しで闘いを挑んでくる犬たちがいるわけでもないので、果てしなく続くんじゃないかと思わされる荒涼とした風景の中で自分と向き合う瞑想の時間になります。

Arica, la ciudad en el desierto

oasis

oasis, campo del arroz

アタカマ砂漠を泳ぎ始める前、この砂漠を抜ける道を数年前に車で旅した友人から、「町間はなんの生命もいない砂漠の中の砂漠だ」なんて脅かされていました。恐る恐る泳ぎ始めると、そんな砂漠の中にポツンと存在する家々の住人から「ソロ(キツネ)が棲んどるんよ」と言われ、砂漠の中を進む楽しみをひとつもらえたような思いでした。何を食べ、どこで乾きを潤して、ソロはこの砂漠で生きているのだろうと思いながら、地平線の彼方に目を遣ってソロ探しが始まりました。

distancia hasta proximo grifo

desierto de atacama

明くる日も明くる日も、そのまた明くる日もそしてその次もその次の次の日も、ソロは現れないまま、遮るものがない砂漠に突き刺さる太陽光と、午後から日没にかけて吹き付ける強風によって僕の体は徐々に干からびていきました。でも、トカゲ1匹にハエ10~20匹の生命は自分の目でこの乾燥しきった土砂の世界に確認しました。ソロはこのトカゲなどを食べて生きているのかもしれません。こんな環境の中においても食物連鎖が起きているのかと、細い糸のように頼りなくもなんともたくましいその連鎖を想像してみると感動させられてさえしまいます。

agua en el tanque

ソロがどこでどのようにして喉の乾きを潤しているのかはわかりませんが、町間には水道は通っていないので、僕に関しては貯水タンクの水を分けて頂いて生き延びているわけなんですが、およそ100km前後に一度訪れる、そういった水・食糧の補給ポイントである売店や食堂がクリスマス休暇で閉まっているというのはいったいどういうことなんでしょうか。途方に暮れていましたが、トラックを運転してやってきたサンタのお兄さんがしっかり魔法水を届けにきてくれました。正しい表現に直すと、お願いして分けて頂いたわけなんですが、風を防げる廃墟の中で、潤いのクリスマスの夜を過ごすことができたのはサンタさんのおかげです。

feliz novidad

dond pasé la noche de novidad con bendicion de agua que me legaro un conductor del camion

今は遠い昔のように思われますが、11月初旬までは、前から後ろから湧き出てきてはこちらに向かって突進してくるペルー犬と対峙しながらアンデス山脈にこだわって走ってきました。越えども越えども現れる山々を重たい荷物を運んで越えていくのは、もちろん楽なものではないのですが、それでもその道を行くのはその苦労に見合うだけの風景が迎えてくれるからに他なりません。

vista del Alpamayo y las otras montañas de la cordiella blanca

un pueblo en los andes

しかし、雨季にケツを叩かれ、ついには追いつかれ、どんよりとした曇り空の下その苦労の対価が簡単には得られなくなってしまった日々を過ごす中で、不本意ながらアンデスに一度お別れする決意をしました。

un poblito en los andes

先住民文化が色濃く残るペルー南部、ボリビアのアンデスは、南米を代表する見どころの多いエリアだと聞きます。そういった文化自然両面において世界有数の景観の中に身を置きながら、実際に目に映るのはそれらを覆い隠す重たい雲々というのでは、あまりに残念過ぎると思ったからです。

punta portachuelo

加えて、10月下旬に行われたボリビアの大統領選挙は、開票に不正があった疑いで国内で大規模な抗議デモが発生。再選を果たした約14年間政権を握ってきた同国初の先住民大統領として知られるエボ・モラレス大統領は、辞任に追い込まれ国外亡命。反モラレス派、モラレス支持派のデモ活動は、ボリビアの都市で暴動に発展しました。11月中旬、僕がペルーの首都リマを発つ頃にはボリビアへの国境は閉められているという話も聞きました。

僕が国境を越える頃には状況は落ち着いているだろうとは思いつつも、ウユニ塩湖を自転車が塩水に侵されずに走れる時期に間に合うかも不確かでしたし、どのみち今回はアンデスの山々に”呼ばれていない''と判断し、ボリビアには向かいませんでした。今年もう一度時期を改めて、乾季のアンデスをしっかり走りたいと思っています。4000mを簡単に越えてしまうような土地を自転車で走ることができる場所は、世界でも本当に限られており、それらの場所を走ることができるのはとても贅沢なことなのです。

vicuñas

flamencos

llamas

年明けからは、リャマやアルパカ、ビクーニャ、羊、ヤギ、ロバにフラミンゴなどの動物たちに出会いながら再びアンデスの高原を越えて、アルゼンチンに入国しました。翌々日、銅鉱山で知られる町間にある山越えの途中、標高およそ4300m地点の高原砂漠に、探索をすでに打ち切っていたお探し物が、忘れたころに姿を現わしました。

ingreso a Argentina

草や低木が生えるこの地には、上記の家畜や野生動物のほかにフンコロガシのような虫やトカゲもたくさん棲んでいます。道横を行く細く緩やかな流れにはおたまじゃくしも暮らしていました。この地でならば、何不自由なく生きているソロの生活を僕は容易に想像することができます。乾燥してはいても、ここには魔法の水がしかと存在しているのです。

vicuñas

Alpacas

大半の自転車旅行者はペルーからボリビアに向かって内陸へと進むと思うので、なかなかすぐには現れないような気がしますが、僕が果たせなかった ''アタカマ砂漠でのソロ探し'' は、次にこの土砂の世界を走ることになってしまった方に任せたいと思います。

明けました2020年は、自身30代最後の1年です。大陸最南端到達と昨年断念したペルー南部及びボリビアアンデス走行にかける年となります。ソロ探しに夢中で忘れるところでしたが、僕が南米にやってきたのは、砂漠で探し物をするためではなく、アンデスの山々を走るためなのです。なんとか40を前にタフな世界最長山脈走行に区切りをつけることができそうです。

abra del acay アカイ峠

家賃が払えず、ラクダもキツネも棲むのをしぶしぶ諦めたといわれる水に恵まれた東京砂漠で、オリンピックが開催されている頃には自分はどこを走っているのだろうか、そんなことを考えております。

パタゴニアが冬になりきる前までに、大陸最南端まで走り切りたいと思います。今年もよろしくお願いします。

zorro





@Cafayate・Argentina
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Comment
194
SSGH
神保さん
元気ですか?

195
Re: SSGH
元気だよ
まだ懲りずに走ってます

ひろしは元気か?
今も同じ場所?

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hiromu jimbo

Author:hiromu jimbo
I'm in a challenge to cycle around the world
since May 2009,started from Istanbul,Turkey.
Motivation for this journey just comes from big curiosity about the world.I'd like to see and feel the ordinary life of the people living in defferent cultures.

2009年5月末イスタンブールより
自転車世界一周挑戦中です。
世界で起きていることへの大きな好奇心がペダルを回しています。その土地で生きる人の日常生活を見ていけたらと思います。

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*special thanks to sekiji-san

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68,781km (May09-May14)
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