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2018年6月20~26日

alegres



メキシコ南部、熱帯雨林帯に属するチアパス州は、マヤの人々が多く住む地域です。山村では精巧な刺繍入りの美しい伝統衣装を纏った女性が歩いていて思わず目を奪われてしまいます。長い雨季の中でも雨が最も多い時期らしく、毎日のように近い空から降り注ぐ滴で、山の緑は青々と生気に満ちており、夜にはその中でホタルたちが揺れながら代わり番こに光を灯します。

la vista de poblados montanes de Maya

traje traditional de Mayas

temporada de lluvia

高地では山の斜面に村が構えられ、その周りにはとうもろこしが所狭しと植えられています。山の麓から中腹、高地にかけて、カカオやコーヒー、サイズの大きな多種の野菜果物が育ち、小規模でも市場はそれらの作物でとても色鮮やかです。人々は畑作業、牧畜の傍らで、裁縫や刺繍、編み物をしながら静かに暮らしています。

un poblado montanes

in a Tzotzil village

muchacha Tzotzil

収集した薪を背負って歩く人々と追い越し際に挨拶を交わしながら、ゆっくりゆっくりと標高を上げ、また下げては上げ、ようやくサンクリストバル・デ・ラス・カサスの町に着きました。2,000mを越える高地にあるため、蒸し暑く蚊の多い低地から来ると、ここは天国のようです。目指すはとあるご夫婦が約7ヵ月前に始められた宿、ペンション・アレグレです。

iglesia

mujere Zapatista tejerand

sancri


「ジンボさんですか?」

先月、メキシコシティにある某有名日本人宿の茶の間でひとり夕食をとっているとき、一人の細身の男性が入ってきてそういわれました。目の前に立つ彼の顔を見て、あの日出会った男の顔と名前がすぐ浮かんできました。このとき、互いが互いの顔に弱冠現れている時の流れを確認しあったのではないかと思います。

約8年前の2010年の9月28日、西アフリカのガーナにあるギニア湾沿岸の町タコラディ郊外を走行中、道端で会い、短い会話を交わした旅人がその彼でした。彼はガーナ人の友人と一緒にいて、町を案内してもらっているところでした。カカオで有名なガーナでも、メキシコのようにとうもろこしを使った主食が多く、蒸し暑さの中を漕いで行く道の脇にはとうもろこし畑やらソルガムきび畑やらが広がっていたのを思い出します。

ninos y ninas en Ghana

cacao seco

semillas de cacao (costa de Marfil)

後から聞いたことですが、彼はそのときマラリア明けだったそうで、実は僕も彼と出会った2日後、そのバトンを受け継いだものとは露知らず、マラリアを発症し倒れているのですが、彼はその後にも、計11ヵ月のアフリカ滞在中、さらに2度マラリアを患ったとのことです。ちなみに、マラリアには予防薬はありますが、予防接種はありません。僕は副作用を心配して予防薬は服用せず、治療薬として、当時はガンビアで購入したコアルテムという薬を運んでいました。町でも在庫がないこともありますし、薬の手の入らない辺境で発症してしまったら大変です。マラリア感染地域に入る際にはできるだけはやく薬を用意して対策されることをお勧めします。

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交わした会話は10分にも満たない時間だったと思いますが、強く記憶に残っていたのは西アフリカで出会った数少ない日本人であったということよりも、首に白いタオルをぶら下げた彼が見せる、飾り気のない優しい表情のためであったのかもしれません。

もの静かで優しくて、やることはやりとおす芯のある男といった感で、「そういう振りをしているだけ」だといってしまう人柄。彼のことを知れば、マラリア原虫からさえも愛されてしまうのも納得がいきます。通り過ぎていく自分の旅と違い、各地で一箇所に長く滞在しその土地に住む人々の中に入って濃い出会いを繰り返しながら6年半、飛行機も使わずに世界を旅してきた男。そんな男の旅は、2014年10月、やはりそのメキシコシティにある某有名宿での旅人との出会いによって、一人ではなく二人三脚で行く新たなステージに入りました。その旅人が彼の今の奥さんです。

la cocina alegre

宿の名前になっているスペイン語で“明るい、嬉しい、幸せ”といった意味のアレグレという言葉はまさに彼女の代名詞であるように思えるのですが、この空間にいる人、宿泊している方々みんながそういう気持ちになれるようにとつけてあるのだそうです。しかしながら、庭に咲くブーゲンビリアのように華やかで明るい彼女の横で、一番幸せそうにしているのが、彼女の旦那さんであるこの男のように滞在中僕には見えました。

jardin alegre

とうもろこしも、ガーナやコートジボアールを中心に生産されているカカオも、中南米が原産で、ヨーロッパ人の到来により、後にアフリカに伝わっています。メキシコ南部にはテハテやポソルと呼ばれる、とうもろこしと炒ったカカオの種を粉砕してつくる飲み物があるんですが、オアハカ州で初めてそれに出会い、「これ何です?」と訊ねたとき、「bebida de dios (神の飲み物よ)」売り子の先住民女性がそう教えてくれました。

tejate

pozol (bebida de dios)

以来、汗で重たくなったシャツで町々に着けば、神からの恵みであるその飲み物を探して、砂糖を多めにポルファヴォールしてもらってはよく飲んでいます。汗と疲れが引いて再びペダルを漕ぐ力を与えてくれます。カカオやとうもろこしが古来からこの中南部アメリカ大陸で暮らすマヤや他の先住民の人々にとってどのような存在で在り続けてきたのかを感じさせる、シンプルで実に印象的な言葉でした。

campo de maiz

cacao

人の移動、物や言葉や文化の伝播。異なる離れた土地土地でも、そういったものが繰り返し為されて、多くのことが重複して混ざりあって世界は今に至っています。旅を続けていると、そう実感する場面が訪れます。自分の体験を通してそう感じられたとき、僕は旅をしていてよかったなぁと思います。今回の思いがけない再会を通してもまた、僕の頭の中である2つの点が線になり繋がりを持ち始めました。

cacao

同じ時代を旅してきた彼と再会できたことがうれしくて、放浪生活に区切りをつけ、「久々に住所を持った」という彼の暮らしを見るのが、何だか自分のことのように微笑ましくて、今回の出来事を書き残さんと、2人が新生活に選んだ町を見渡す丘に建つ、風通しの良い教会の中にて、今こうして筆をとっている次第です。旅人の間ですでに話題になっているこのコンビが創り出す美味メシの時間が近づいてきており、ヨダレを吸い上げるのに忙しくて集中できません。

buen provecho

これは無公開で真の世界旅をしてきた、僕が尊敬する大好きな一人の男の紹介であり、その彼との8年前の出会いを、マヤの土地を旅しながら、記憶を辿って顧みたときに生まれた書き物です。マヤの人々の生活に触れ、この“アレグレな男”に会ってからサンクリを出てみるのはいかがでしょうか。

2人の宿の紹介は他の旅人がたくさんしているようなので、詳しくはそちらで確認ください。人が人を呼ぶ宿って素敵ですよね。

amigos alegres
※サトシさん瞬間どうもす!

パンダのような犬のパンディータ。ひょっこりどこからかやってきて居心地のよさにうっかり居ついてしまった猫の“ネコ先輩”もいます。

リョウスケ&ヒロミさん、宿で出会った皆さん、どうもありがとうございました。


en Ghana 2010




ペンション・アレグレ(Pension Alegre)
Flavio A. Paniagua 69, Barrio de Guadalupe,
San Cristobal de las Casas, Chiapas, Mexico
http://pensionalegre.site/

sigan bien hasta entonces

@San Cristobal de las Casas
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hiromu jimbo

Author:hiromu jimbo
I'm in a challenge to cycle around the world
since May 2009,started from Istanbul,Turkey.
Motivation for this journey just comes from big curiosity about the world.I'd like to see and feel the ordinary life of the people living in defferent cultures.

2009年5月末イスタンブールより
自転車世界一周挑戦中です。
世界で起きていることへの大きな好奇心がペダルを回しています。その土地で生きる人の日常生活を見ていけたらと思います。

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*special thanks to sekiji-san

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68,781km (May09-May14)
54,500km (July2014- )

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